30代、オタク4人ルームシェア

赤の他人と出来るだけ健やかに暮らしたい記録

第8話 4号の場合〜あるいは(繁忙期と昇給がもたらす独立への憧れ)

「ご実家出るおつもりってありますか? ルームシェア物件探しをしていて、いい物件が見つかったんですが、4名向けなのにいま3名しかいない状態で」

 

仕事の繁忙期。片道1.5時間をかけ、すっかりしんなりして帰宅する道すがら、3号から飛び込んできたLINEが全ての始まりでございました。

 

申し遅れました。わたくし、4号と申しまして、都内でサラリーマン2年生をしております。「役所かな?」という塩梅に堅い職場で、繁忙期以外はのんびり9時5時生活でございます。繁忙期以外は。ええ。


東京郊外の実家に住まうこと、生まれてこの方三十(ピー)年。過干渉気味なものの比較的良好な家族関係、若干遠い気はするが(1〜1.5時間)通えてしまう都内の学校や職場、始発駅(つまり確実に座れる)という強烈なアドバンテージを持つ最寄駅……といった好条件が揃い、のらりくらりと実家住まいをしておりました。

いや、一昨年くらいまで超不安定な大学の地縛霊をしていて、金銭的に一人暮らしの難易度高めだったからなんですけれども。あれは実に良くないですね。精神を病みます。あれだけ日々追い詰められていたら捏造だ何だも起きるというものです(言うまでもありませんが、不正ダメ絶対)。

 

ともあれ、サラリーマンとなりお安いながらも安定した収入を得、「そろそろ実家を離れるイベントを起こすべきでは……? いやしかし一人暮らしするには給料安過ぎる……でも片道1.5時間は忙しい時期には虚しい……だけど単身はさびしい……」と悶々としていたところに、3号からの冒頭のLINEが届いたのです。

 

お誘いに、わたくしの中のお気楽な部分は「えっめっちゃ渡りに舟だべ?」と膝を打ちます。ルームシェアならば安月給でも耐えられるところまでコストを抑えられるし、家に自分以外の気配がする。立地も実家よりも遥かに都心に近い。

しかし、わたくしの内のチキンな部分が「いやでも過干渉マイファミリーとの交渉、すげえタフなのでは? あとジーチャン亡くしたばかりのバーチャン(孫命、ニアリー同居)を置いていくのは流石に何か言われるのでは?」と異議を唱えます。

 

結果、3号へ送った返事は次のようなものでございました。

 

「興味ありのペンディング、で……!」

 

このチキンが!!!!!!

 

しかしその後、突然のちょっぴり昇給するよのお報せ、ルームシェアに誘われていてと話したら「なんだお前やっと出ていくのか」的反応をした両親(ねえ今までのアレコレなんだったのねえちょっと)という二つの吉報と、なおも激化する繁忙期で、更にしなしなに煮込まれた4号。実に12日間のシンキングタイムを経て、震える手で3号とのトークルームに文字を打ち込んだのでございます。

 

「ぜひ私もひとくち乗らせていただければ……」

 

なお、この時点でルームシェアに誰がいるのか、ふんわりとしか把握していなかったのは完全なる余談でございましょう。チキンのわりにそういうとこありますよね、貴方。

 

趣味は人様の家の掃除と再レイアウトのわたくし4号、自分自身を派手に実験台にする機会がついにきたとソワソワしております。現自室は三十(ピー)年分の蓄積が凄まじく、抜本的な改造はなかなか困難でありましたもので……家具なんかも、自分で選んだものではございませんしね。一度ゼロから生活空間を組み上げてみたかったのですよ……!

 

今回のルームシェアで恐らくわたくしが一番生活経験値が低いかと思われるので、はやく一人前(とは)になりたい所存でございます。

 

……まずは引越しの手順を知るところから……うん……。